准看護師の仕事内容と今後の課題

 

看護師資格に関連した資格に、「准看護師」と呼ばれるものがあります。准看護師は、業務内容は看護師とほとんど同じです。それにもかかわらず、看護師と比べて給料が低かったり、保健師や助産師等の資格が取れずキャリアアップできなかったり、さまざまなデメリットがあります。

 

そのため、今後は准看護師という制度を廃止して、看護師という資格に一本化しようという動きになっています。ここでは、准看護師の資格の中身について確認していきます。

 

准看護師制度が生まれた背景

 

戦後、病院を急激に増設していったところ、看護師の数が足りなくなってしまいました。准看護師制度は、この人手不足を解消するために生まれた制度です。

 

看護師になるためには、高校を卒業しなければいけません。ただ、当時は女子の高校進学率が低かったため、中学校卒業という条件にすることで、看護師業務を行える人材を増やすことが目的とされました。

 

しかし現代は、戦後とは大きく状況が異なっています。医療の高度化・複雑化が進んでいるため、看護師もより高度な知識や専門性が求められるようになってきました。そのため、准看護師制度の今後の在り方については、見直す必要がでてきています。

 

看護師と准看護師の法的位置づけの違い

 

看護師も准看護師も、病気の人の世話や医師の診療の補助を行うという点では業務内容は一緒です。

 

しかし、看護師と准看護師では大きく異なる点があります。それは、准看護師は「医師・歯科医師・看護師の指示を受けて」上記の業務を行わなくてはいけないという点です。業務を行う前提が「指示を受けること」となっているので、自律して判断したり行動したりすることができません。

 

准看護師になるには

 

准看護師になるためには、准看護師試験を受けて合格し、都道府県知事から免許をもらわなくてはいけません。ちなみに看護師は厚生労働大臣から免許をもらうという点も准看護師と異なります。

 

中学校卒業後に高校の衛生看護科で3年間学ぶか、准看護師学校養成所に進学して2年間学ぶことで、准看護師試験を受けるための単位を得ることができます。

 

また、准看護師の資格を持っている人は、さらに勉強することで看護師資格を取得することも可能です。その場合には、看護師学校養成所に入って2年間学び、看護師国家試験を受けるための単位を得る必要があります。

 

そのため、「准看護師→看護師」というルートで看護師を目指そうとすると、「准看護師学校養成所2年+看護師学校養成所2年」で計4年もかかってしまうことになります。

 

はじめから看護師資格を目指せば、3年課程の看護師学校養成所で学ぶことで最短3年で看護師資格を取得できます。そのため、こちらのほうが近道になります。

 

准看護師の現状

 

准看護師学校養成所の数と入学者数は年々減少してきており、その数は1970年から2014年にかけて1/3になっています。

 

さらにいえば、准看護師は看護師と比べて求人の数が圧倒的に少ないため、希望する就職先に就職することが難しい現状があります。

 

また、准看護師は看護師よりも給与が低いです。業務内容がほとんど一緒にもかかわらず、その差は月に約6〜8万円にもなります。生涯年収にすると、約4000万円以上の差になるといわれています。

 

准看護師は、業務内容が看護師とほとんど一緒であるにもかかわらず、給与が低い、就労場所が限られる、キャリアアップできないなどのさまざまな問題点があります。

 

そのため、看護職を目指すのであれば初めから看護師学校養成所に入って学び、看護師資格を取得するのが良いでしょう。



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