認定看護管理者に期待される役割と資格取得条件

 

看護管理者とは、看護師長や看護部長など、管理職としてスタッフや部署・病院の運営に携わる役割を持つ看護師のことを指します。そして認定看護管理者は、「看護管理者」のスペシャリストです。

 

認定看護管理者は英語で「Certified Nurse Administrator」と表記され、「CNA」と略されます。

 

認定看護管理者は、より質の高い看護サービスを組織的に提供するためにはどうしたらよいかについて豊富な知識を備えています。認定看護管理者となった看護師は、自分自身を含めた看護管理者の資質向上とともに現場の看護力向上を目指します。そして、ひいては医療界全体の水準向上を図るようにします。

 

それでは、認定看護管理者になるにはどのような道があるのか確認していきましょう。

 

認定看護管理者になるための4つの道

 

認定看護管理者になるには、まず通算5年以上の実務経験が必要になります。そのあとは、4つの道に分かれます。

 

認定看護管理者になるためには、下記の4つのうちいずれかの要件を満たさなくてはいけません。内容は少しややこしいので、あとで詳しく解説します。

 

要件1:認定看護管理者教育課程サードレベルを終了している者。

 

要件2:看護系大学院において看護管理を専攻し修士号を取得している者で、修士課程修了後の実務経験が3年以上ある者。

 

要件3:師長以上の職位で管理経験が3年以上ある者で、看護系大学院において看護管理を専攻し修士号を取得している者。

 

要件4:師長以上の職位で管理経験が3年以上ある者で、大学院において管理に関連する学問領域の修士号を取得している者。

 

上記の要件をみていただければ分かるように、認定看護管理者になるための方法にはいくつか選択肢があります。しかし、どの道を選んでも、認定看護管理者になるためには多くの教育カリキュラムを経なくてはいけません。

 

要件2〜4に関しては、大学院で管理について学び、修士号を取得することが第一の条件になります。それに加えて臨床で3年以上の経験が必要です。ここまでは、イメージしやすいと思います。むしろ、要件1に関してイメージしにくい方は多いのではないでしょうか。

 

認定看護管理者になるためには、ほかの資格にはない独特の教育カリキュラムを選ぶ道があります。それが、「ファーストレベル」「セカンドレベル」「サードレベル」と呼ばれるカリキュラムです。
要件2〜4のように大学院への進学を目指さなかった人が認定看護管理者になるには、「ファーストレベル」「セカンドレベル」「サードレベル」の教育カリキュラムを受講する必要があります。

 

ファーストレベル、セカンドレベル、サードレベルの教育カリキュラム

 

これらの教育カリキュラムを受講できる要件は、下記のとおりです。特に青字の部分に注目して読んでみてください。

 

教育課程

受講条件

ファーストレベル

1.日本国の看護師免許を有する者。

 

2.看護師免許を取得後、実務経験が通算5年以上ある者。

 

3.管理的業務に関心があり、ファーストレベル管理的業務に従事することを期待されている者。

セカンドレベル 1.日本国の看護師免許を有する者。

 

2.看護師免許を取得後、実務経験が通算5年以上ある者。

 

3.認定看護管理者教育課程ファーストレベルを修了している者。
または看護部長相当の職位にある者、もしくは副看護部長相当の職位に1年以上就いている者。

サードレベル 1.日本国の看護師免許を有する者。

 

2.看護師免許を取得後、実務経験が通算5年以上ある者。

 

3.認定看護管理者教育課程セカンドレベルを修了している者。
または看護部長相当の職位にある者、もしくは副看護部長相当の職位に1年以上就いている者。

参考:日本看護協会HP

 

一部例外はありますが、基本的には「ファーストレベル」の受講を修了した人が「セカンドレベル」を受講し、セカンドレベルを修了した人が「サードレベル」を受講します。そしてサードレベルの受講まですべて終えてからはじめて、認定看護管理者になるための要件を手にすることができるのです。

 

それぞれの教育カリキュラムがどこで受講できるかに関しては、日本看護協会のホームページを参考にしてください。

 

なお、それぞれの教育課程修了までにかかる時間は「ファーストレベル:150時間」「セカンドレベル:180時間」「サードレベル:180時間」となります。

 

認定看護管理者になるための方法:まとめ

 

認定看護管理者になるための方法をまとめると、下記のようになります。

 

認定看護管理者に期待される役割と資格取得条件

 

認定看護管理者も、5年ごとに更新が必要な資格であるという点に注意が必要です。

 

認定看護管理者に求められる役割

 

認定看護管理者は、自分が今いる現場、そして日本の医療を幅広い観点からみつめ、その水準向上を図っていく資質のある人の資格です。

 

認定看護管理者が取り組んでいる活動は、代表的なものとして、以下のようなものが挙げられます。

・ワークライフバランスの推進

 

・看護職員採用・配置計画の立案、実施

 

・新人看護師の離職率の低下

 

・常勤看護師の離職率の低下

 

・労働時間管理

 

・医療安全対策   等

 

今の医療現場では、慢性的な看護師の人手不足が問題となっています。その原因に、ワークライフバランスがとりにくいことや看護職の離職率の高さが挙げられます。

 

認定看護管理者は、そのような医療界の大きな問題に真正面から向き合い、現場レベルから改善していくことのできる可能性を秘めた資格なのです。



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