病棟勤務の看護師の働き方と収入・給料

 

病院とは、病床数(ベッドの数)が20床以上の大きな施設のことです。一般的によく呼ばれている大規模な病院の種類には、総合病院、大学病院、専門病院などがあります。

 

病院の部署は、大きく2つに分けて考える必要があります。それは、「外来」「病棟」です。外来と病棟にはそれぞれ特色があり、働き方も大きく異なります。

 

その中でも、ここでは病棟看護師の働き方や待遇、給料についてみていきましょう。

 

病棟看護師の業務とやりがい

 

一口に「病棟看護師」といっても、どの部署(病棟)で働くかによって、看護業務の内容や行う看護技術は大きく異なります。

 

例えば「消化器外科病棟」などの急性期病棟では、患者さんの入院から退院までの期間が短いために短時間で関係を構築し、退院後の生活を見据えたフォローをすることが必要になってきます。看護技術に関しては、「採血」「導尿」「補液の管理」「静脈注射」などの基礎的な看護技術を幅広く身につけることができます。

 

一方「精神科病棟」の場合、看護業務は「消化器外科病棟」とは大きく異なってきます。患者さんは入院期間の長い人が多いために、患者さんの症状の一進一退を長い目で見守る必要があります。

 

また、精神疾患では患者さんの症状によっては他人に対して依存的になったり攻撃的になる人もいるため、いかに適切な距離感を保ちながらコミュニケーションをとって寄り添っていくかが重要になります。また、看護技術に関しては、実践する機会が少ないためあまり身につけることができません。

 

上述した2つの病棟を比べてみるだけでも、その性質が大きく異なることに気が付くと思います。そのため、病棟看護師として働くことを希望する場合には、「病棟ならばどこでもいい」と考えてはいけません。自分はどんな「対象」「疾患」の人に看護を行いたいのか、どのような知識・技術を学びたいのかを明確にしたうえで希望の病棟を選択していく必要があります。

 

なお、やりがいに関してもそれぞれの領域で異なりますが、どの病棟でも共通している点があります。それは、患者さんに対して個別性の高い看護ケアを提供しやすいということです。

 

外来はどうしても患者さんと関わる時間が短いため、「点」での付き合いしかできません。数分という限られた時間で情報収集を行うことの難しさもあります。

 

しかし、病棟であれば、患者さんが朝起きてから夜寝るまでの1日の生活を知ることができますし、家族との関係についても情報を得ることができます。それにより、患者さんに対してより個別性の高い看護ケアを提供することのできるため、看護師としてもやりがいを感じやすいという特徴があります。

 

新人看護師が病棟勤務を行うメリット

 

新人看護師にとって病棟勤務はメリットがたくさんあります。

 

まず、知識・技術を学びやすいという点です。外来と比べて、病棟は基礎的な看護技術を実践できる機会が多くあります。看護技術は看護学校で習うだけでは身につけることができません。いかに数をこなして経験するかが重要になります。

 

病棟ではさまざまな種類の看護技術を数多く経験できるため、ある程度の期間病棟勤務を経験すれば、その後看護師としてどこに就職しても困らない程度の看護技術を身につけることができます。(もちろん、どの病棟を選択するかによって経験できる看護技術は幅があります)

 

また、外来と比べて病棟には若いスタッフが多いため、勉強会や研修会を独自に開催している病棟も多いです。

 

臨床に出てからは、いきなり専門的な知識を求められるようになります。そのため、看護学校では学ぶことのできなかった専門的な知識を得られる場として、勉強会・研修会はとても頼もしい存在となります。

 

それだけではありません。新人看護師が病棟勤務をするメリットにプリセプターシップが充実しているという点が挙げられます。

 

プリセプターシップとは、新人看護師に対して担当の先輩看護師がついて、看護の基礎から社会人としてのマナー、さらには新生活に適応できているかなども気にかけてくれる制度です。就職した病院、病棟によって差はありますが、新人看護師を多く受け入れているような病院では「プリセプターシップ」と呼ばれる看護師教育システムが整っているところが多いです。

 

大変なことも多い病棟勤務ですが、このようなフォローアップ体制により、新人看護師にとって働きやすい環境となっている側面もあります。

 

病棟の勤務形態と雇用形態

 

病棟は常に患者さんがいるため、24時間営業です。そのため看護師の勤務形態も、「日勤」「夜勤(準夜勤、深夜勤)」「早番」「遅番」などさまざまな種類があります。

 

外来勤務との大きな違いは、夜勤があるという点です。夜勤をすることで、「夜の患者さんの様子を知ることができる」「病院の1日の流れがわかる」「限られた人数の中で働くため、自分の役割を認識しやすく成長につながる」などのメリットがあります。

 

また、収入面でいうと、夜勤をすると「夜勤手当」と呼ばれる手当をもらうことができるので、給料はその分多くなります。

 

一方で夜勤は夜働かなくてはいけないため、家庭や子育ての両立が難しいという側面もあります。病院や病棟によっては、子育て中であっても夜勤の免除がなされない場合もあります。就職・転職先を選ぶときには今働いている人は夜勤についてどのような配慮がなされているかも知る必要があります。

 

雇用形態に関しては、病棟勤務は正規雇用が多いです。しかし、例えば「遅番や早番だけ」「夜勤専従(夜勤だけを行う看護師のこと)だけ」というように、特定の勤務形態に限定した形で非正規雇用として雇われる場合もあります。なお、非正規雇用でも正規雇用と同じように勤務する場合もあります。

 

病棟で働く看護師の給料

 

病棟勤務には、夜勤があります。夜勤手当という名目で手当てをもらえるため、給料は外来看護師と比べて多いです。

 

また、外来に比べて病棟勤務は残業も多いです。そのため、残業代も上乗せされると基本給よりもかなり多くなります。参考に、新人看護師の初任給(大学卒)の平均は27万1200円です。

 

給料は病院によっても異なります。また、給料だけでなく福利厚生(寮の有無、住宅費支給の有無など)も病院によって大きく異なります。

 

そのため、就職・転職する場合には、給料だけでなく福利厚生に関しても注目していく必要があります。



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