病院の外来看護師として勤務するメリットと収入・給料の関係

 

病院とは、病床数(ベッドの数)が20床以上の大きな施設のことです。一般的によく呼ばれている大規模な病院の種類には、総合病院、大学病院、専門病院などがあります。

 

病院の部署は、大きく2つに分けて考える必要があります。それは、「外来」「病棟」です。外来と病棟にはそれぞれ特色があり、働き方も大きく異なります。

 

まずは外来勤務についてみていきましょう。

 

外来で行われる看護

 

外来で行われる看護は、「外来看護」と呼ばれています。外来看護は、病気を持ちながら地域で療養・社会生活を営む患者さんやご家族が安心して診療を受けることができるように診療の補助を行うこと、そして社会生活が円滑に行われるように調整を行うことが役割です。

 

現在の医療は、「入院期間の短縮化」「在宅医療の推進」が掲げられ、どんどんそのような方向にすすんでいます。また、医療技術の進歩によってがんの化学療法が外来で受けられるようになったり、日帰り手術が可能になったりと、高度な技術が外来でも受けられるようになってきました。

 

このように、今までは入院して看護師の手厚いサポートのもと行われてきた医療が、外来で行われるようになってきているのです。「化学療法」「輸血」「日帰り手術」「病名告知を受ける人」「早期退院した人」など医療依存度の高い患者さんが外来に通院してくる数はどんどん増えています。そのため、外来においても、より専門性を発揮して個別性のある看護を提供する必要がでてきました。

 

外来看護師の役割とやりがい

 

外来に通院してくる成人患者の約6割は、療養上の困難があるとされています。その「療養上の困難」とは、ほとんどがセルフケアに関する内容です。

 

外来は、病棟に比べて患者さんと関わることのできる時間が少ないです。しかし、限られた時間の中で患者さんやご家族のニーズを拾い出し、看護を行うことは、患者さんやご家族のQOL(生活の質)を大きく高めることにつながります。ここに、外来看護の大きなやりがいがあります。

 

上述したように、「現在の医療の方向性」「医療技術の進歩」などにより、外来の担う役割は大きくなってきています。そのため、外来看護師という分野もこれからさらに進化していくことが考えられます。

 

さらに、今は看護師が主体で行う「看護外来」という外来も登場しています。看護外来は、医療依存度の高い患者さんや家族に対して、専門家としての立場から個々のライフスタイルに応じた指導を行うことのできる外来を指します。看護外来を設置している病院は、全体の約3割に上り、その数は年々増加しています。

 

開設されている看護外来の領域は「ストーマ、皮膚排泄ケア」「フットケア」「糖尿病」「禁煙」「在宅療養相談」「緩和ケア」など多岐にわたります。外来においても看護師が個別性の高い看護を提供できる場として、看護外来に期待される役割はどんどん増えてきているのです。

 

このように外来看護師は、これからさらにプロフェッショナルとしての専門性が確立されていく領域なのです。

 

現状における外来看護の問題点

 

さまざまなニーズがあり、今後さらに発展していくと考えられる外来看護という領域ですが、現状では問題点も抱えています。

 

それは、業務内容に「事務処理」が多すぎて本来の看護業務を行う時間を確保することが難しいということです。そのため各病院では、なるべく事務処理や記録などを簡略化し、看護師が患者さんに関わることのできる時間を増やそうと努力しています。

 

外来の勤務時間

 

基本的には、外来が開いている時間(診療時間)が勤務時間になります。朝8:00〜9:00より勤務が始まり、16:00〜17:00ごろ勤務が終わることが多いです。

 

しかし、勤務時間終了とともに業務も終わるかというと、必ずしもそうとは限りません。「診療時間の延長」「処置が必要な患者さんが多い」「診療時間終了間際で来院する患者さんがいる」「日中混雑していたため記録が終わらない」などの理由により、残業が必要な場合もあります。この傾向は、特にその病院が力を入れている診療科(有名な診療科)の外来で多くみられます。

 

ただし、残業が必要とはいっても、病棟勤務と比べると残業時間は少なくてすむ場合が多いです。その理由は、外来は診療時間が終われば患者さんがいなくなるためです。

 

外来の勤務形態と雇用形態

 

外来看護では平日(月曜〜金曜日)の日勤がほとんどです。土曜日も診療している病院では、土曜日も勤務日となる場合があります。

 

病院によっては遅番がある場合もありますが、夜勤は基本的にありません。日曜日、祝日は基本的には休みになりますし、お盆・お正月など世間がお休みのときには休むことができるなど、家族や友人と予定を合わせやすいのが外来勤務の特徴です。

 

雇用形態に関しては、ひとつ注意点があります。それは、外来は非正規雇用(パートやアルバイト)の割合が病棟よりも多いという点です。

 

病院は診療報酬によって収益が成り立っています。全国どこの病院でも提供する医療が同じであれば、同じだけの収益しか発生しません。そのため、病院によっては利益を出して経営を安定させるために人件費を削減しようとするところがあります。そのような病院の場合、外来は非正規雇用の看護師を多く採用するところが多いです。

 

外来における非正規雇用の看護師は、福利厚生やボーナスなどは正規雇用の看護師に比べて少ないです。しかし、「自分の業務が終われば帰ることができる」「希望の日数だけ働くことができる」「院内の委員会や検討会に参加義務がない」などのメリットもあります。そのため、家庭や子育てと両立させたい場合には働きやすい環境となることが多いです。

 

正規雇用の看護師として外来で勤務することは、病棟に比べて残業が少ないなどの理由から、家庭や子育てと両立させたい人にはおすすめです。

 

しかし、非正規雇用の人が多い職場の場合、正規雇用の看護師にとってみれば「院内の委員会や検討会に非正規雇用の人の分も参加しなくてはいけない」「非正規雇用の人の分も残業しなくてはいけない」など、負担が大きくなりやすいので注意が必要です。

 

このように外来における非正規雇用と正規雇用の特徴について述べましたが、残業時間などに関しては個々の病院による違いがとても大きいです。

 

そのため、外来での看護を希望するのであれば、「どの病院でも一緒!」 と早合点して決めるのでなく、自分のワークライフバランスに合わせた就職先を慎重に選んでいく必要があります。

 

外来看護師の給料

 

外来看護師は夜勤がありません。そのため、給料は基本的に基本給のみとなります。

 

そもそも看護師の給料には、「夜勤手当・残業手当などの手当てが多く、基本給が少ない」という特徴があります。給料全額の中に占める夜勤手当・残業手当などの割合は平均11%にも及ぶほどです。

 

そのため、夜勤手当のつかない外来看護師の給料というのは、病棟看護師と比べて少なくなります。ただし、具体的な金額については病院によって大きく異なりますので、就職・転職の際にはここも見るべきポイントとなります。

 

病棟看護師と比べて給料が少ない外来看護師の仕事ですが、その専門性はどんどん増していっているためにやりがいはあります。また、「夜勤がない」「日曜・祝日が休み」など、病棟看護師に比べるとワークライフバランスをとりやすいという特徴もあります。

 

就職・転職では、給料だけで考えるのではなく、このようにワークライフバランス全体でみた場合に、外来看護師の仕事は魅力的な点も多いです。



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