法律的には免除されていない「妊娠中の夜勤」

法律的には免除されていない「妊娠中の夜勤」

 

病棟で働く看護師が妊娠した場合、心配になることの一つに夜勤勤務があります。

 

健康な時でさえ、夜勤が心身に与える影響は非常に大きいです。日々体調が激変する妊娠中は、夜勤勤務が大きな負担になる場合があります。

 

妊娠している自分自身と赤ちゃんを守っていけるのは、自分しかいません。そのため私たちは、「妊娠中の夜勤」に関する正しい知識をつけた上で、安全な妊娠生活を送るためのベストな選択をしていかなくてはいけません。

 

今回は、妊娠中の夜勤に関する法律について説明していきます。

 

妊娠中の夜勤について記されている「労働基準法」

 

妊娠中の夜勤については、「労働基準法」と呼ばれる法律の中で記されています。

 

労働基準法では、「妊産婦が請求した場合、時間外労働、休日労働または深夜業をさせてはならない」と決められています。

 

つまり、妊娠中・出産後の看護師は、希望すれば夜勤を免除してもらうことが可能なのです。

 

しかし、ここで注意すべきなのは、夜勤免除はあくまで「請求した場合」のみであるという点です。妊娠中の看護師が夜勤の免除を申し出た場合にはその通りにしなくてはいけないですが、特に希望が無ければ夜勤勤務を継続させても法律上は問題ないのです。

 

「夜勤免除を言い出しにくい」看護師が取るべき方法

 

上述したように、法律上は妊娠中の看護師が請求した場合に夜勤を免除してもらうことが可能です。むしろ、免除しなければ法律違反となるため、上司は必ず夜勤を免除させなくてはいけません。

 

しかし現実的には、「今すぐ夜勤を免除してもらいたいけれども、病棟の状況を考えると言い出せない……」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。

 

実際、私自身がそうでした。私が妊娠していた時は、つわりがひどく、お腹も張りやすい状況でした。そのため本当はすぐにでも夜勤を免除してもらいたかったのですが、「病棟が忙しい」「新人教育で忙しく、夜勤ができるスタッフがいない」「夜勤が免除されるとその分日勤が多くなる」などの理由で、夜勤免除を言い出せずにいました。

 

結局、なんとか産休直前まで夜勤をしながら働いたのですが、「もしもあのとき無理をしたせいで、赤ちゃんになにかあったら」と考えると、とても怖いです。

 

病棟で働いていた頃は目の前の仕事しか見えておらず、「私が働かなくてはみんなが困ってしまう」という謎の義務感に駆られ、無理して働いていました。

 

しかし出産して子どもができて、職場を離れてから冷静に考えると、「そんなに頑張る必要は無かった」と本気で思います。いくら人員不足とはいえ、看護師の代わりはいくらでもいます。そして、これは看護師として働いているあなたも体験したことがあると思いますが、人員不足でも病棟はなんとか回るのです。

 

それに対し、お腹の中の赤ちゃんを守ることができるのは、自分しかいません。当時先輩に言われた言葉ですが、「看護師の代わりはいるけれども、ママの代わりはいない」のです。

 

今妊娠中の働き方に悩んでいる看護師は、ぜひ、自分と赤ちゃんを守るための勇気を持ってもらいたいと思います。

 

そして妊娠中の働き方について、上司と話し合ってみましょう。もしも上司が夜勤免除などに難色を示した場合には、以下のような方法も取ることができます。

 

「母性健康管理指導事項連絡カード」を使用する

 

「母性健康管理指導事項連絡カード」とは、妊婦の主治医が書くカードのことです。このカードには、健診の結果をもとに、妊婦に対して「配慮しなくてはいけないこと」が書いてあります。

 

「配慮しなくてはいけないこと」とは、例えば「通勤時間の変更」「勤務時間の短縮」「労働内容の変更」などです。このカードを受け取った上司は、記載されているとおりに妊婦に対して配慮していかなくてはいけません。

 

主治医は、妊婦と赤ちゃんの味方です。そのため、夜勤勤務が心身ともに辛い場合、主治医に相談して「母性健康管理指導事項連絡カード」に「夜勤を免除すべき」と書いてもらうことができます。

 

「医師からの指示」で夜勤免除となるのであれば、自分一人で上司に伝えるのよりも説得力がある上に、上司にもその必要性を理解してもらいやすくなります。

 

「母性健康管理指導事項連絡カード」は、ほとんどの場合、母子手帳の後ろのページに載っているので、それをコピーして使いましょう。

 

「負担の軽い作業への変更」を希望する

 

これは夜勤に限らないことですが、妊婦は「負担の軽い業務への変換」を申し出ることができ、事業所(病院、診療所など)はその通りにしなくてはいけないという決まりがあります。

 

どの業務が「負担の軽い作業」にあたるのかは、部署により違うため、上司と相談しながら、無理の無い働き方を実現させていきましょう。

 

これまでみてきたように、妊娠中の看護師には「請求すれば夜勤を免除してもらうことができる」という権利があります。かけがえのない自分と赤ちゃんの命を守るために、無理せず働けるよう、勇気を持って上司に相談してみましょう。

 

また、「夜勤免除について上司が難色を示してくる」「病棟の理解が得られにくい」「体調が思わしくない」といった場合には、思い切って退職するという方法もあります。

 

看護師は、いつでも、どのような形でも、キャリアを形成させていくことのできる職業です。「妊娠・出産という大事な時期は一度職場を離れ、落ち着いた頃に復帰する」という働き方も十分可能なのです。

 

日々忙しく業務をこなしていると、じっくり自分のキャリアについて考える時間は持ちにくいかもしれません。しかし、妊娠・出産は、自分のキャリアについて立ち止まって考えるよいチャンスです。

 

このチャンスを生かし、自分が本当に望む生活はどのようなものなのか、考えてみてください。


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